若手が意識すべきキャリア開発の5つのポイント
- 桐田
- 2 日前
- 読了時間: 3分

言うまでもなく、製薬業界は研究開発や品質管理、営業・マーケティングなど、専門性の高い職種が分業化された業界となっています。一方で近年は、デジタル技術の進展、創薬モダリティの高度化、医療提供体制の変化などにより、「一つの専門を深めるだけ」ではキャリアの持続性が担保しづらくなっていることも気づき始めておられると思います。そのため、若手社員が将来に向けて有意義なキャリアを築くためには以下の5つの視点が重要となってきますので簡単にご紹介したいと思います。
1.「職種」ではなく「価値創出プロセス」で自分の立ち位置を捉える
大切な視点の一つは、自分のキャリアを職種名ではなく、医薬品価値創出のどの工程に貢献しているかで捉えることです。たとえば研究、開発、薬事、マーケティングはいずれも「患者価値を社会に届けるプロセス」の一部なので、自分の業務が全体のどこに位置し、前後の工程とどうつながっているのか(誰に対して価値を創出しているのか)を理解することで、将来的な職種転換や役割拡張の選択肢が見えやすくなってきます。
2.専門性は「一点突破+周辺理解」で磨く
製薬業界では専門性が重要であることは言うまでもありません。ただし若手のうちは、完璧な専門家を目指すよりも、一つの強みを作りつつ、その周辺領域を理解する“T字型”のスキル形成が有効です。たとえば、臨床開発担当であれば統計や薬事の考え方を、MRであれば疾患理解に加えてデータ活用や担当エリアをマーケティング思考で理解するスキルを学ぶことで市場価値は大きく高まります。
3.「社内での評価」と「社外での通用性」を同時に意識する
若手のキャリア開発で見落とされがちなのが、社外から見た自分の価値です。これからの時代、転職をしなくても社外の関係者と協働する機会は一層増えてくるので外部からの視点を持ち自身を客観的に評価することは重要です。学会発表や論文投稿、業界勉強会、部門横断プロジェクトなどを通じて、「どの文脈でも説明できる経験」を意識的に積み上げることが将来の選択肢を広げることにつながっていきます。
4.技術トレンドを「自分ごと」として取り込む
AI創薬、リアルワールドデータ、デジタルセラピューティクスなどの新技術は、ITやデータサイエンスなどの特定部門だけの話ではありません。若手のうちから「この技術は自分の仕事をどう変えるか」という視点で捉え、最低限の概念理解を持つことが重要になります。技術そのものよりも、それが業務プロセスや意思決定をどう変えるかを語れる力が自身の価値を高めると同時に他者との差別化につながります。
5.キャリアは「設計」より「仮説検証」で考える
最後に、若手のうちは、完璧なキャリアプランを描くよりも「こういう方向性は合いそうだ」という仮説を立て、異動や新しい役割で検証していく姿勢が重要であることをお伝えします。経験から得た気づきを言語化し続けることで自分なりの軸が徐々に形成されていくので、「今の延長線上に将来がある」と考えすぎず、高度な専門性と業界を俯瞰する視点を組み合わて仮説立案→答え合わせを繰り返すことをお薦めします。
以上、これまでにない視点でキャリア論を考えてみました。皆さんの将来設計の一助になっていれば幸いです。



コメント