人事の目に留まる職務経歴書の書き方
- 桐田
- 11月15日
- 読了時間: 4分

初めて転職を考える方にとって最初の壁になるのが「職務経歴書」です。多くの人が、学生時代の“自己PRの延長”として書き始めてしまいますが、採用担当者はあなたのストーリーを求めているわけではありません。彼らが知りたいのは、「あなたを採用するとどんな価値を発揮してくれるのか」という一点です。だからこそ、職務経歴書は“読み手が価値を判断しやすい構造”で作成する必要があります。
そのうえで特に重要なのが、次の3つのポイントです。
① 具体的な成果を明示すること
人事がまず見るのは「何をやってきたか」よりも「どれだけ成果を出したか」です。ここで重要なのは、絶対値だけでなく相対評価も必ず示すことです。
例えば、
・売上○○万円 → 部内平均の1.4倍
・顧客満足度向上△△ポイント → チーム内トップ
・改善施策により業務工数30%削減 → 全社プロジェクトに展開
というように、「どれだけ優れていたのか」「どんな位置にいたのか」を示すことで、あなたの成果がぐっと伝わりやすくなります。
採用担当者はあなたの業務環境を前提として理解していません。だからこそ、相対的な数字や比較軸があるだけで、読み手の理解負荷が大きく下がります。「結果をどう測れば価値が伝わるか」を意識して成果を整理しましょう。
② 成果を生む“自分だけの再現性メカニズム”を掘り下げて示す
成果の提示だけでは、「それは偶然かもしれない」という疑念を完全には払拭できません。そこで大事なのが、成果を安定的に生むための自分独自のプロセスや思考回路(=メカニズム)を構造化して示すことです。
例えば、
・「顧客課題の深掘り → 仮説の提示 → 最小提案 → フィードバックの反映」という一連の“提案サイクル”
・「週次での解像度の高い現状把握 → ボトルネック特定 → 1つの改善策に集中して実行」
・「関係者を巻き込む際には、目的→役割→期待効果の3点セットを必ず事前共有する」
といった、あなたが成果を出す際に“無意識に行っている行動パターン”を言語化すると、評価は一段上がります。
採用担当者は「この人はなぜ成果を出せるのか」「うちの会社でも再現できるのか」を見ています。だからこそ、あなたの成果の裏側にある“勝ちパターン”を構造化して伝えることが、実は最も重要なポイントなのです。
③ ストーリー調ではなく構造的に表現する
職務経歴書は文章力を競う場ではありません。読み手が数十秒で理解できる“構造”こそが価値になります。
たとえば成功事例を書く場合、以下のようなフレームで整理すると、採用担当者が読みやすく、皆さんの能力やスキル、持ち味を理解しやすくなります。
・役割 / ミッション
・業務内容(箇条書き)
・成果(数値+相対評価)
・成果を生んだプロセス・工夫(再現性のメカニズム)
これだけで、ストーリー調の冗長な文章よりも、はるかに“伝わる職務経歴書”になります。
④ 人事が見る“隠れたポイント”に気を配る
上記3点に加えて、採用担当者は次の観点も必ずチェックしています。
● 一貫性
過去の経験が“どんなキャリア軸や価値観”とつながっているか。バラバラの経験でも問題はありませんが、自分なりの軸で整理されていると説得力が増します。
● 伸びしろ
若手の場合、経験量よりも「どんな働き方・学び方をしてきたか」が評価されます。日々の工夫や改善・チャレンジする姿勢が書かれていると、人事が将来性を判断しやすくなります。
● 業務の“レベル感”
単なる作業なのか、目的や課題を自ら明確化したうえで取り組んだ仕事なのか。自分ひとりでやったのか、周囲をうまく巻き込みながらゴールをめざしたのか。意識や役割のレベルが一段上がると評価は大きく変わります。
最後に一つ大切なことをお伝えします。それは、職務経歴書は“過去の棚卸し”ではなく“未来への提案書”だということです。“あなたがその会社に対してどんな価値を提供できるか”を企業側にプレゼンする資料だという感覚で書いてみてください。そうすれば転職活動の手応えは大きく変わるはずです。



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