いま転職しない方がいい人
- 桐田
- 49 分前
- 読了時間: 3分

製薬メーカーやCROで働く20代後半〜30代前半の方と話していると、「自分はこのままでいいのか」、「もっと成長できる環境があるのでは」と悩む人は非常に多いと感じます。特に近年は転職市場が活況であることに加え、SNSや転職サービス上で“キャリアアップ成功談”が大量に流れてくるため、「動かなければ取り残される」という空気を感じやすい時代です。
しかし実際には、“いまは転職しない方がいい人”も存在します。
その代表例は、「現職でまだ“武器”を作り切れていない人」です。
入社後の3年程度は、ちょうどビジネスの基礎力が固まり始める時期です。たとえばCRAであれば、施設対応やモニタリングの一連の流れを一人で安定して回せるか。PV職であれば、安全性評価の考え方を体系的に理解できているか。MRであれば、担当エリアをどう分析し、どのように医師との関係構築を行うかを自分の言葉で語れるか――。こうした“再現性のある強み”がない状態で転職すると、環境が変わっても結局また同じ悩みにぶつかりやすくなります。
転職市場では「経験年数」より、「何を自走してできるか」が見られています。逆に言えば、今の会社でもう少し経験を積むことで、一気に市場価値が上がるケースは少なくありません。
次は、「感情だけで転職したくなっている人」です。
上司との相性、評価への不満、繁忙期の疲弊――もちろん、それらは軽視できる問題ではありません。ただ、人は疲れているときほど“環境を変えれば全て解決する”と考えやすくなります。しかし実際には、転職先にも別のストレスや難しさがあります。特に製薬業界は、どの会社でも目標達成に対するプレッシャーや人員削減のリスクなどと無縁であることはできません。つまり、会社を変えれば“嫌なことがゼロになる”わけではないのです。だからこそ、一度冷静に「自分は会社を変えたいのか、それとも今の状態から逃げたいのか」を切り分けて考えることは重要です。
三つ目は、「外から見た自分を把握していない人」です。
意外と多いのが、“自分の市場価値を知らないまま転職活動を始める”ケースです。特に専門性が多岐にわたり高い質の仕事が求められるこの業界では、自分では当たり前と思っている経験が他の企業や他の部門ではまったく通用しなかったり経験不足と見なされることもあります。もしあなたが客観的な視点で自分自身を見ているという自信がなければ、エージェントや他社の社員とのコミュニケーションを通じて、自分がどの位置にいるのかを知ることをお薦めします。そのうえで、「この1〜2年でどんな経験を積めば、より良い選択肢を取れるか」を考えてみてもよいのではないでしょうか。
転職は、キャリアを大きく変える有効な手段です。ただし、“焦り”や“周囲との比較”で行うものではありません。特に20代後半は、「どこに行くか」以上に、「何を積み上げるか」が大切で、その質が将来の大きな差になります。動くことそのものより、“動ける状態を作ること”の方が、実は重要なのかもしれません。



コメント