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AI時代の能力開発のヒント

  • 桐田
  • 6月12日
  • 読了時間: 4分

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AIは敵か味方か

2045年にシンギュラリティ(AIが人間の知能を超える転換点) を迎えるというレイ・カーツワイル氏[未来学者]の予測がありますが、皆さんは信じますか?


2045年と言えば、皆さんがシニアマネジメントのポジションに就いている頃だと思いますが、AIが人間の能力を超える世界での働き方を想像してみるのは案外無駄なことではないのかもしれません。なぜなら、本当にAIが人間を凌駕すると、人間とAIの役割が大きく変わる可能性をはらんでいるからです。


今のところAIは、私たちの仕事を大幅に効率化してくれたり、さまざまなインサイトを提供してくれる大切な友人だと考えている方が多いと思いますが、AIの利便性にかまけて漫然と過ごしているといずれは自分自身の役割(ポジション)を失うことにもなりかねないと警鐘を鳴らす人は多くいます。(私もそう思っています)

 

 

あくまでも人間が主体であるために

ChatGPTが世に出てきたとき、「試しにいろいろ聞いてみよう」という軽い気持ちで無料版を触っていた人も、今は複数のAIツールを使いながら提案書を作成するようになっています。こうしたAIの進化はとても喜ばしい反面、その加速度的な進化のスピードと自身の能力やスキルの成長スピードを冷静に比べてみると、いずれAIの進化に追いつくことができなくなって時代から取り残されてしまうのではないかという不安を感じるのではないでしょうか。


実際、何万ページにも及ぶ資料を瞬時に読み込んでその要点を抽出してくれる機能はありがたく感じても、そこから得られる示唆をもとに、「これらのデータから推測される効果的なネクストアクションである~~の準備をすぐに始めてください」というリコメンド機能を複雑な思いで受け取る人は多いと思います。


このような状況の中でも人間(皆さん)が主体であり続けるためには、❝成長の軸をずらす❞ことが有効だと考えています。言い換えると、まともに対峙しては勝てない相手と同じ土俵で戦うのではなく、敢えてAIとは異なる土俵に立つということです。ともすると、「AI時代だからデータ解析のスキルを身につけよう」などと考えがちですが、敢えてAIと正反対のスキルを磨いて共存をめざすという考え方が、実はAI時代にとても有効な能力開発の視点になります。 


  

効果的な土俵の見つけ方

医薬品業界誌の『ミクス』が行った調査では、いまやドクターが薬剤の一次情報を得る情報源はインターネット(オンラインセミナーを含む)が主体になっている一方で、必要と考える情報源の1位はMR(63-69%)となっています。さらに詳しく行動分析した結果では、自分が診ている目の前の患者さんに本当に使っても問題がないかの確認は必ず担当のMRに相談する傾向があるということが分かっています。


この結果は、医師が状況に合わせて情報源を使い分けていることを示していますが、これがまさに自分の土俵を見つけるためのヒントになります。簡単に言ってしまうと、ジェネラルな情報(ドライなもの)はネットから、個別化された情報(ウェットなもの)はMRから取っているということですが、この分別の背景には❝感情❞というキーワードがあるのではないかと考えられます。


ただ、だからと言って「相手の感情に訴えかけよう!」と考えるとファジーな精神論に陥ってしまうので、ドクターの治療ジャーニーの各フェーズにおいて❝感情につながる要素をスキルとして伸ばしていく❞ことを考えるべきだと思います。以下の表で示すのはMRの事例ですが、各職種ごとに検討してもらえると、ご自身の能力開発の方向性が見えてくると思います。

 

<MRの例> 

治療フェーズ

ドクターの感情

MRに求められる行動

求められるスキル/能力

治療方針決定

意思決定の後押しがほしい

患者背景の理解に基づく提案

洞察力、共感ベースの会話力

治療経過観察

このままで良くなるだろうか

・治療効果カーブ予測の提案

・想定外事態への対応の提案

・AIの解析経緯の解読力

・想像力、状況判断力

治療方針変更

変更したいけど不安もある

プロコン提示+お薦め提案

情報収集力、論理的思考力

 

さて、いかがでしたでしょうか。納得感の高いキャリア形成のために充分な準備をしていただけていれば幸いです。

 
 
 

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